こんにちは。本日はLive the Dreamの代表としてお伝えしたいことがありこの個人ブログにてご報告させて頂いております。
この度、私佐々翔太郎はLive the Dreamを離れ来年の4月から日本で一度働くことに決めました。クラウドファンディングなどを中心に今までご支援・ご声援を頂いていた方には特に申し訳なく思っております。
その経緯についてご説明させて頂ければと思います。

順調な事業経営の中にも見えて来た自分の力不足

 

ミャンマーでのキャリア教育メディア事業『Live the Dream』はFacebook上で20万いいねを超え黒字化も達成するなど順調に進んでおりました。(詳細はこちら)
そして何よりミャンマーで事業経営する毎日は全てが初めてで、すごく刺激的で、充実した日々を送っておりました。
一方その順調そうに見える経営の中でも数多くの失敗を経験し自分に足りないものが見えて来ました。

他者を巻き込む力が圧倒的に足りない

今まで20人近くのインターン生含む従業員と一緒に働いてきましたが、今もなお働き続けてくれているのは10人ほど。つまり約10人はこの約1年の間に辞めていきました。
確かにミャンマーは転職率が非常に高く一年以内に辞めるのはよくあることではあります。ベンチャー企業は待遇も良いとは言えない状況の中、新しい市場を創って行くという高い要求レベルの下で多くのプレッシャーに晒され人材は流動的になるというのもよく言われています。このような状況で「そんなのまだいい方だよ!」と励ましてくださる経営者の皆様もいらっしゃいますが、私は悔しくて仕方がありませんでした。もちろんネガティブな理由で辞めていったというよりは夢を追いかけたり留学するためという理由がほとんどですが、本当にLive the Dreamの職場に、仕事にやりがいを感じてくれていたらどんな理由があったとしても辞めていかないはずです。スタッフに対してインセンティブを設計する能力、いや、根本的に他者を巻き込んで行く人間力が足りないと感じました。

他者を巻き込むための特化したスキルと人間としての器(修羅場経験)

 

もっとロジカルにわかりやすくプロダクトを説明できたらもっと売上を上げられるのに… もっと戦略性を持ってマーケティング戦略並びに事業を設計することができたらもっとユーザーも増えて行くのに… プログラミングができたらプラダクトを作るのにコストも時間もこんなにかからないのに…
などなど数え切れないほど自分の力不足は感じることがありました。しかし、本当に足りないものは今となってはgoogleで検索できてしまう小手先のスキルというよりやはり人を引っ張っていけるだけの何か抜きん出た能力と人間としての器(修羅場経験)だと気づきました。
自分はスーパーマンではありません。多くのことができないからこそ仲間が必要だと思います。ルフィは腕を伸ばして相手と戦えるという特殊能力があるからこそその闘志で仲間を鼓舞することができます。しかし、今の私は何事も中途半端で何か特殊な能力があるわけではありませんでした。これではもっと厳しい状況で本当に優秀な仲間を鼓舞することができないと思いました。また、時にカッとなってスタッフと言い合いをしてしまったり誘惑に負けてしまったりと人間としての器が自分でも小さいと思ったことも何度もありました。確かにミャンマーという国は日本とはまるで違い、仕事をする中で信じられないようなアクシデントは毎日のように起こります。そんな状況でも常に冷静に対応できる器が、その器を育む修羅場経験が私には圧倒的に不足していました。
では、どのような特化した能力を育んで行くのかというと、『営業』だと考えています。事業をしてみて営業の大切さを身にしみて感じます。どんなにいいプロダクトがあっても売れなければ事業になりません。顧客が本当に直面している課題は何なのか、それを相手にどう伝え、解決して行くのか。これはビジネスの根本に繋がって行くのだろうと思います。さらにその人に伝える能力はマネジメント能力にも繋がります。会社を創っていく身としては根本的で最も大事な能力だと考えています。
    

変わってきた将来像

 

以上のような力不足など想いがあればミャンマーで試行錯誤しながら補えるだろう、私はそう思っていました。
しかしもう一方で私が将来なりたい『像』というのはこのミャンマーにいる2年間で変わってきていました。大学に入った当初は「政治家になりたい」と言い、フィリピンに留学に行ってからは「国際協力分野で働きたい」と言い、ミャンマーに来る直前は「ソーシャルビジネスの可能性を探りたい」と言い現在のLive the Dreamを立ち上げました。つまり最初はLive the Dreamは株式会社というよりは助成金などで長続きさせるsocial enterpriseのような形を目指しておりました。しかし、このLive the Dreamをやっていくうちにソーシャルビジネスやsocial enterpriseではより多くの人にはサービスを届けることはできないのではないかと感じ、ビジネスとして豊富な資金でもっと多くの人にサービスを届けたいという欲が湧いてきました。そして最近はインターネットの力を用いてどう効率的にスケールさせ世の中に影響力を与えるかということに非常に興味があります。そして将来はこのインターネット更にはAIを含むテクノロジーの力で世界中の人々に影響力を与えるような会社を創りたいと思うようになりました。やはり学生時代の経験から東南アジアに思い入れがあり、特に東南アジアを舞台に展開して行きたいと考えています。また、ビジネスをより志すようになったのは世の中に対する矢印の他にも従業員に対する矢印も大きく関係しています。先日、働き始めた時は英語も喋れずコミュニケーションも苦手で少し俯き加減だった従業員が「Live the Dreamのお陰で信頼し合える仲間ができたし成長できた!今人生が楽しい!」と言ってくれました。事業が上手く行った時と同じくらいもしくはそれ以上に嬉しかったです。そんな、仲間と繋がれ成長できるコミュニティーとしての、みんなに愛される家族のような会社を創りたいしもっと大きくしたい!そう思いました。
そしてもう一つ、このミャンマーの2年間で気づいたことがあります。それは祖国である日本が私は大好きであるということです。ミャンマーという外国に住み、働いてみたからこそ日本の良い部分・悪い部分が見えてきました。全てを引っくるめて日本が好きなのだと思います。しかし、ミャンマーでも我が祖国の世界でのプレゼンスの低下を感じずには入られません。昔はミャンマーの優秀な方は多く日本に留学されていたのですが、現在はそうではないと思います。優秀なミャンマーの大学生と話す機会が多くあるのですが、留学で日本に行きたいかと尋ねるとNoと即答します。こんなに悲しいことはないと思いますが、これが現代日本の現実だと思います。
しかし、日本はもちろん終わったわけではないと考えています。中国をはじめとした新興国に抜かれてしまった産業も数多くあると思うのですが、まだ日本の成熟した社会・文化は世界でも誇れるものだと思いますし、世界を経験しより良い未来を創ろうと踏ん張る優秀な若者も沢山いると思います。そんな日本は東南アジアで、幸いなことに非常に好かれ、必要とされています。また誇りを持てるような日本の復活を信じ、一日本人としてそこに貢献して行きたいという想いが本当にここ最近強くなったと思います。だからこそ将来は具体的にはまだわかりませんが、東南アジアと日本をwin-winの形で繋げるような事業がしたい、と考えています。

その将来像に近づくために

 

このような以前とは変わって来たビッグな夢を叶えるために、このままミャンマーで20代前半の吸収力が高い時期を過ごすのはどうなのか、という疑問は常にありました。
オフィスに行けば私は常に指示を出す立場にあり、インプットは自分で試行錯誤をするか、もしくは時々の社外の人からのアドバイス、インターネット検索や読書です。自分で試行錯誤をするにしてもその試行錯誤の頻度は会社が大きくなればなるほど限られて来てしまいます。それに加えミャンマーの景気もここ5年では今が一番悪く、自分の成長が外的要因により左右される可能性が高いのもあると思います。
これらを全て鑑み、日本語という一番理解スピード、成長スピードが早い言語で優秀な仲間と切磋琢磨し合いながら厳しい競争環境の中高速で多くの修羅場を経験し、目標となる先輩を追いかけながら『営業』というスキルと人間としての器も大きくするという方が夢への近道になる可能性は高いのではないかと判断しました。
孫正義さんやマーク・ザッカーバーグさんのように学生時代から起業して成功している起業家の方は沢山いらっしゃいます。偉大な起業家になる正解の道などないのだと思います。しかし、私は今会社で一旦働くという決断をしました。この道が正解かどうかを考えるのではなく、この道を正解にするのだ、という気持ちを持って頑張って行きたいと思います。
  

今後の進路

 

結論から申しますと、株式会社リクルートという会社に4月から入社致します。上記のような自分に不足する能力・経験を、情報産業という自分が将来関わりたい業界で十分に鍛える事ができ、そして何より優秀で尊敬し合える仲間が沢山いらっしゃる会社だと考えています。人材輩出企業と言われるだけあり、社内から何人もの起業家が巣立っておられアジア各国にもリクルート出身の方が沢山おられます。(ミャンマーでもリクルートの先輩にはいつもお世話になっておりました)
おそらく社内で働いている友人は一番多いのではないかというくらい元々結びつきは強く、就職活動の際にも何度も何度も面談をして頂き非常にお世話になりました。(最初は志望度は高くなかったのですが、話しているうちに惹かれていきました…) 価値の源泉を人に置き、とことんおせっかいなまでに人に向き合おうとして下さる文化、そして何より旧社訓の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」が象徴するように個人が本当にやりたいことを尊重する文化には本当に共感しています。(Live the Dreamの社訓の”Create opportunity by yourself”と何故か似通っています。。) そのような文化が本当に深くまで浸透し辞めていった人も辞めた会社を誇りに思える、みんなに愛される会社がどのように設計されているのか、ということに関しては本当に興味があり一社員として十二分に学ばせて頂けたらと思っています。
そして事業も、情報を整理しリボン型でまだここにない出会いを実現させていくというモデルで情報産業という自分が将来関わりたい事業領域であります。現在のLive the Dreamも言ってみれば若者と若者にリーチしたいユーザーを繋げるリボンモデルではありますが、どうすれば、どのようにKPIを設定し実行して行けばリボンの両端を最大化することができるのかということに関しても学びたいところであります。
年数は特に定めていませんが、リクルートを卒業した将来は上述したように情報IT産業という分野で、そして東南アジアという地域で再び事業を立ち上げ顧客にも従業員にもみんなから愛される会社を創っていきたいと考えております。
 

Live the Dreamの今後

 

Live the Dreamの今後に関しましては、現在の状態(ビジョン、ビジネスモデル、従業員など)を継続・ドライブさせていけることを大前提に引き継ぎ方法を模索しています。事業の継続性という観点からも個人というよりは、現在のキャリア教育メディアを事業として考え、実行して下さる企業様とお話をさせて頂いております。完全に関わりを断つというよりは何らかの形で今後も関わり続けはします。現在のメンバーは私が面接をして入社し、ビジョンを分かち合って働いてくれていますし創業者として今後も果たせる価値はあると思っています。
また、現地でLive the Dreamの事業を熱く引っ張っていきたいと思って下さる方がいらっしゃれば是非ご紹介・ご説明させて頂きたいです。(募集要項はこちら)
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皆様には、特にクラウドファンディングなどで多大なご支援・ご声援を頂いたのにも関わらずこのような形で途中で退任する形になって申し訳なく思っております。しかし、これまで現地の仲間たちと共に泣き、笑いながら創り上げた想い、そしてLive the Dreamの事業は必ず仲間にしっかりと受け継がれていると思いますし、事業をこれからもっと大きくしていけるように残りの期間で最大限の努力を尽くしていきます。
そして何より、この経験を自分の心に一生忘れることのできない記憶としてしっかりと刻み、将来必ずやまたパワーアップした姿で帰還し、より大きな事業・インパクトを生むことが最大の恩返しだと考えています。
関わって下さっていた皆様には本当は直接お会いしてご挨拶させて頂きたいのですが、ブログ上でのご挨拶になってしまい申し訳ありません。また是非お会いさせて頂いた際にご説明させて頂ければ幸いです。
何卒よろしくお願い致します。

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